経済・政治・国際

民  度

窓(H20.05.15NO72

「民  度」

北京オリンピックの聖火リレーが世界中の話題になった。日本でも中国からの留学生が大挙して長野に押しかけた。日本人から見るとどうしても違和感を抱かざるを得ない。毎日新聞の余禄には「長野の聖火リレーはまるで赤い洪水のようだった。各地から動員された中国人留学生が五星紅旗で沿道を埋めた。北京五輪のスローガンは【一つの世界、一つの夢】。だが、愛国主義の赤一色で塗りつぶされると落ちつかない気分になる」とあった。同感である。

 ミャンマーの大水害もあったばかりだ。朝日新聞の天声人語には「自然は公平でも、人間の側に様々な不公平がある。そのひずみを、天災はあぶり出す」として、軍事政権が各国の人的援助を拒否している姿を「天災があぶり出したひずみの最も愚かな一つであろう」と酷評している。これまた同感である。

 しかしなぜアジアの二つの国が国際社会からの非難を集めているのか。非難の声を大きくあげているのは西洋諸国である。報道によれば人権宣言の国フランスの声が一番大きいという印象を持つ。確かにフランスは民衆が「自由・平等・博愛」を国王から戦い取った国である。そのフランスでさえナポレオンという皇帝を生み、王政復古という曲折を経て民主主義を勝ち得た。

 アジア諸国は西洋列国の植民地主義の犠牲になった。民主主義を勝ち取る歴史をたどる暇さえ与えられずに搾取された歴史がつい60年ほど前まであった。今西洋諸国が二つの国の民衆の味方になったかのように声高に言う価値観を私は否定しない。しかしアジア諸国が今民主主義への道をどう歩むのかを見守る責務が傲慢な植民地主義を歴史に持つ西洋諸国にあるのではないか。日本もアジアを席巻した歴史を持つ。声高に今の自国の価値観を押し付けるかのような姿勢はとるべきではない。このような国々の指導者と地道な対話と出来る支援をしていく姿勢を持つことが必要だと考えている。五星紅旗を打ち振る中国留学生の民度が現在の中国の民衆の民度だとすれば、それをまず受け止め、民衆レベルの交流を進めていく度量が先進国を任ずる国々の民度でありたいものだ。

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