子育て・教育・社会福祉

トポス

窓(H20.04.17NO71

 

「トポス」

 

 桜の花は一つの花芽から58つの花が顔を出している。花が散った直後から次の年の花芽を形成し始め、冬の寒さが開花を促すことはよく知られている。一つの花芽に包まれ夏と秋そして冬を過ごした58つの花は同時に開花するわけではない。早いもの少し遅れるものそして他のみんなが開花し終わっても臆病に花を開かないものがある。同じ場所で同じ花芽の中ではぐくまれてもそれぞれ違うのが面白い。

 

「幕末期、維新の原動力となった青年が活動した。そうした人材群がなぜ一時期に固まって輩出されたのか。その理由について、麗沢大学の松本健一教授は「自分なりの才を生かし、伸ばすトポス<共同の場>があった」と指摘している。そこで、異なる能力を持つ若者と知り合い、切磋琢磨することによって個性を輝かせたというのである。」とある新聞のコラムにあった。同じ武士であっても身分も育った気候風土も藩風も違う者たち、言語すら通じないほどの違いがあった。それを乗り越えて議論をした。だから人は育ったというのだ。

 

異質なものを排除する。この空気は地域の方々と話をしていても強く感じるところである。特に政治信条や宗教について排除の論理が働きやすい。また、人権を主張する人々にも排除の目が注がれる。

 

共同募金や赤十字への募金を町内会費に一括して集めることは思想信条の自由を侵す恐れがあり、公序良俗に反するとの最高裁判決が出た(平成20年4月3日)。町内会の方々が募金を集めるのに大変苦労するかもしれない。なぜ裁判を起こさなくてはならなかったのだろうか。この裁判を起こし得た人(

滋賀県甲賀市

希望ヶ丘自治会の一部の人たち)が異質なものとして排除されていたのだろうか。それともみんな同じようにと考える人々が多かったのだろうか。どういう議論がなされたのだろうか。新聞記事や最高裁の判決文を読んだだけでは地域の実情は分からない。ともあれ、異質な人たちと共に考えあうのが町内会というトポスではないのだろうか。

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