好雨
窓(H20.03.29)NO64
「好 雨」
「好雨知時節、当春乃発生」(好雨 時節を知り、春に当たって すなわち発生す)。杜甫の「春夜喜雨」という詩の最初の一節である。今日は朝から雨である。昨
日までの温かさとは打って変わって肌寒い。しかし、コートに襟巻きまでは不要である。しっとりと濡れた地は黒々として、芽吹きを一層誘うようである。将に 「好雨」である。
霧の中に透けるように見える山のように駅前公園のニシキギはぼんやりと輪郭を現し始めている。近くからはまだ骨だらけの枯れ枝しか見えないのに、遠くからは紅い輪郭が見えるのである。
遠くの山々がこの雨を吸い込んで、ほの紅く見えるのは、芽吹いた直後の葉の先端の紅色のせいである。それが数日すると葉の裏が柔毛に覆われた若葉となる。そして葉の裏が柔毛の銀色に、表面はそれぞれに独特の緑色となって風が山々を通るたびに山全体が緑となり銀色となる。
冒頭の杜甫の市に続く二文には「随風潜入夜 潤物細無声」(風に随ってひそやかに夜に入り、物を潤し細やかにして声なし)とある。春雨が慈雨と呼ばれるのに相応しいのは杜甫のような詩人に会うと一層その意が深まるように思う。


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