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夕食づくり

窓(H19.7.30NO31

 「夕食づくり」

 夕方になると私が住む団地にも「とう~~~~ふ」「とう~~~~~ふ」とラッパを鳴らして豆腐屋さんが来る。実際は、軽自動車に付けた拡声器からテープに録音した音を流しているのだが。この音がすると私は、包丁を置き、ガスを消し、財布を手にしてあわてて玄関にダッシュする。

 妻が勤めに出ている関係で帰宅が7時前になる。6時前に帰宅できた私は、6時ころから夕食作りを始める。カレーライス、肉じゃが、野菜炒め、マーボ豆腐、焼き魚におひたし、そのときの冷蔵庫の中身で適当に食いたいものを作っていた。豆腐屋さんがくれば、かご豆腐を冷やっこにできるし、厚揚げもついでに買ってありあわせの野菜で煮付けることもできる。しかし、できる料理はそんな程度で、凝ったものはできない。

 そこで食材を毎日自宅まで届けてくれる業者にお願いして、その業者が立てた献立どおりにレシピを見ながら夕食を作ることにした。なかなか凝った料理もテーブルにのせることができるようになった。しかし、毎日毎日運んでくださる食材でレシピ通りに料理を作っていると、今日はあれが食いたいとか今日はやっと手に入れた辛口の日本酒に合う料理がほしいとか思ってもそうはいかない。決まったメニューを明日に延ばせば、明日は二日分の料理を作らなければならなくなる。

 そこで当分食材を届けていただくのを止めることにした。しかし止めてみると、私が適当に作ったカレーを二日間食べることになったりする。どうしても大量に作る癖は、母親譲りらしく、適量にならない。オニオンサラダの残りは次の日の味噌汁になるし、牛筋の煮込みは二日目に家族から嫌われて捨てる結果となる。こういうときは豆腐屋さんの「とう~~~~ふ」の声が救ってくれる。新鮮な豆腐があれば、冷やっこ、揚げ出し豆腐、油揚げと野菜の煮つけでことがすむ。妻に「素材は豆腐だけジャン!」などと苦情を言われても私は豆腐さえあれば満足だからだ。

ところが、「とう~~~~ふ!!」の声にあわてて玄関にダッシュしても豆腐屋さんがつかまらない。豆腐屋さんは軽自動車を時速30キロで走らせているからである。私の家の前をあっという間に通り過ぎてしまうのだ。100メートルも先に行ってしまう豆腐屋の車を恨みがましく眺めたことが何回もある。近くのスーパーにいつ作ったか分からない豆腐はあるにはあるのだけれど、豆腐はやはり新鮮でないとうまくない。もっとまじめに豆腐屋をやれよと走り去る豆腐屋の車に捨てぜりふを投げかけ、今日は冷凍物を油で揚げて終わりと決めてしまう。

 私の今の職場は午後7時前にやっと家にたどり着くほど遠くになった。妻と一緒の時間に帰宅する。今は妻にご指導をいただきながら何がしかの料理作りの手伝いをさせられている。妻に調味料の量を聞いた。妻曰く「適当~~~!」。今日もテキトウの料理をいただくこととするか。

 

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